水張って海と釣り合う千枚田 | 若狭から麦藁蛸のよよと来し |
枯山が日ごと枯山らしく見ゆ | 半分の半分を賜べ草の餅 |
美濃にをり快楽(けらく)快楽と夜の蛙 | 文弱のわれら遊べり茸山 |
帰らねばかはほりが眼を吸ひに来る | 凶事(まがごと)に金泥尽くす屏風かな |
鮎粥の鮎のまはりをまづ啜る | 桔梗や男に下野の処世あり |
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☆大石悦子略歴
昭和13年4月3日、京都府舞鶴市生まれ。昭和29年、作句を始める。「鶴」入会。石田波郷・石塚友二・星野麥丘人に師事。昭和55年度鶴俳句賞。第30回角川俳句賞、第10回俳人協会新人賞を受ける。現在、「鶴」同人。俳人協会幹事・日本文芸家協会会員。句集に「群萌」「聞香」がある。 |